1967年5月2日 イギリスとEEC加盟に関するウィルソンの声明

【ヨーロッパ経済共同体へのイギリスの2回目の加盟申請についての、下院におけるイギリス首相ハロルド・ウィルソンによる声明】

 議長、承認を得て、声明を発表したいと思う。

 イギリス政府は、ローマ条約の条項237に基づき、ヨーロッパ経済共同体への加盟申請、並びにヨーロッパ石炭鉄鋼共同体への加盟申請を行うことを本日決定した。

 議会が思い起こさせるであろうとおり、信用のおける尊敬すべき我が友である外務省と私は、「イギリスがローマ条約を受け入れ、ヨーロッパ経済共同体に参加することになったら、イギリスの基幹部分とコモンウェルスの利益が保護されうるかどうかということを証明するという目的による、6カ国の首相それぞれとの話し合い」を開始するだろうということを、私はこの前の11月10日に述べた。

 これらの話し合いは1月〜3月の間に行われた。その時以来、政府は含まれる全ての問題点の徹底的な検討を行ってきており、結果として今知らせた決断となったのだ。

 議会のために私が作った報告は、6カ国の首都での話し合い中、交渉に従事していなかったということを明らかにした。しかし、我が信用のおける尊敬すべき友と私、そして実のところは議会も、は今日の決定に先立つ非常に率直なやり取りをしてくれたことについて、主催者の方々に感謝すべき理由がある。

 それらのやり取りは、我々が我々の部分については考えたいと思うであろう主要な問題を、その話し合いで固めさせ、我々が特定することを可能にした。

 11月10日に議会で私が伝えたとおり、ローマ条約自体に基づき、私がその時言ったように、我々は話し合いを通じて「...ローマ条約は、それ自体は、あるいは必ずしも、障害ではないのだ。心配事はある...しかし、それが条約下で作られた配置の改造によってだろうと、他のどんな好ましい方法によろうと、もし我々の問題が満足のいくように対処され得るなら、条約は障害になる必要はない」という見解に達した。

 つまり、再び引用することになるが、その時私が言ったとおり、「政府は新たなメンバーの加盟の結果として起こる必然的調整を前提として、ローマ条約を受け入れる準備をするだろうし、我々が困難と考える部分において達成を得ることに備えるだろう」ということだ。6カ国の首都での話し合いは、ヨーロッパ共同体とその機構の実際的な働きという点において、この申し出の妥当性を確固たるものにした。

 政府が申請に先立たなければならない交渉を開始しようとしているのはこの意図によるものである。大半が申請の後に最適に処理され得る、より重要でない問題に不必要に絡まれるべきでないということに、議会はきっと賛成してくれるだろう。交渉が迅速に最後までなされ、我々の最近の議論を通して突き止められたいくつかの本当に重要な問題や、もし議会や国が、イギリスの基幹部分とコモンウェルスの利益が守られるということに満足するならば、合意が達しなければならない問題を関連付けてくれることが、我々の望みである。これは、10年以上前に当初の共同加盟国が共同体に対して自身の交渉を行った意図だ。ヨーロッパ自由貿易連合の加盟国との最近の会議で、彼らもまた同じ考え方でその問題を見ていることを確認した。彼らもヨーロッパ経済共同体に対して接近してくれることを我々は望んでいる。

 さて、交渉過程で解決することを目的にしなければならない主要な問題に移る。

 第一に、共同体の共同農業政策の施行に関連する問題、すなわち、生活費やイギリスの農業の構造と福利に対して起こり得る影響の問題、その資金供給システムの財政上かつ収支上の密接な関係の問題、そして私がすぐに対処するであろう特定のコモンウェルスの問題である。

 私が既に公然と明らかにしたように、我々は現実的になって、ヨーロッパ共同体の農業政策がヨーロッパ共同体の不可欠な部分であるということを理解しなくてはならず、それを諦めて受け入れなくてはならない。しかし政府はこの政策がイギリスの農業の構造における大規模な変化を伴うだろうということを理解している。これは、必要な適応がなされるようにするために、十分な移行期間を含む、ふさわしい準備を必要とする。

 今日(こんにち)存在するのと同様にヨーロッパ共同体の農業政策の要求に応えるように工夫されてきた支払協定は、もしそれが現在の状況と同じようにイギリスに適用されるならば、財務費用の不公平な分担を伴うだろうし、公正な立場で言うならば担うことを頼まれるべきでない付加的な重荷を我々の支払残高に課すだろう、ということも政府の見解である。

 主に、交渉でそのための保護手段を探すのが我々の義務であるところの農業の分野において、コモンウェルスの非常に重要な利益がある。それらは特に、その要求が現在のところ英連邦砂糖協定によって守られている、ニュージーランドや砂糖を生産しているコモンウェルスの国々の特別な問題を含む。議会が知っている通り、我々は全てのコモンウェルスパートナーと連絡を取っており、ヨーロッパ自由貿易連合の加盟国の場合と同様に、彼らとの緊密な協議を保つための特別な協定を、交渉を通じて結ぶつもりである。

 また議会の知っている通り、主要な動きは特別な重要性の問題を起こす。我々の話し合いではそれらは適切な計画によって処理できると提案している。

 もう一つの重要な問題が地域政策の問題である。現にもこのように、ヨーロッパ共同体の加盟国として、議会が当然常に特に関心を寄せている国の地域の産業的・社会的発展を確実にするための必要な策を講じ続けられるべきであるということを、我々自身納得しなくてはならなかった。ヨーロッパ共同体の政府首脳との話し合いで、特に加盟国が現在実行している政策について与えられた情報は、この話題について我々を安心させてくれた。

 既述の通り、主要かつ重要な問題はあれども、政府はローマ条約にも、その要求が問題を解決できなくするヨーロッパ共同体の実際的な働きにもない、ということを信じていることを私は議会に伝えられる。

 議長、両院の尊敬すべき議員たちが当然ながら気にかけている、ある特定の経済問題について私はいくらか詳細を論じてきた。しかし政府の決定は経済政策のより広い検討材料や、後で述べるつもりの、更に広い議論に刺激されたものである。経済的な議論では、それぞれの尊敬すべき議員は、輸出入や工業生産力、産業投資に与える影響の判断を独自にしなくてはならないだろう。同様にそれぞれの尊敬すべき議員は、ヨーロッパ共同体に参加しないことの、そしてこのより広い経済分類の時代で、外部で実現性を獲得し維持しようと努めることの、経済的帰結の予想を独自にしなくてはならない。

 しかしヨーロッパの、そしてそれ故イギリスの、イギリス産業へ供給されるであろう全ての機会や刺激を含めた、3億に達する人々が関する1つの市場を創設するだけの、そして本当にヨーロッパ大陸規模で、科学技術の一貫した方策が作り出せるすごい可能性の、持続的な潜在能力に我々はみな気付いている。信用のおける尊敬すべき我が友と私が、この概念がヨーロッパ中に大きな衝撃を与えたことを発見したことを言うことができて、私はうれしく思う。

 しかし経済的議論が何であれ、議会は私が繰り返しはっきりさせてきたように、政府の目的はとりわけ、ヨーロッパは現在政治的統一の中での素晴らしい前進の機会に直面しており、その中で我々は十分な役割を果たせるし、実際はそうしなければならない、という我々の認識に由来するということを理解するだろう。

 我々はヨーロッパ統一を何か狭いとか内向きだとかいうものとしては見ていない。イギリスはコモンウェルス中に、そして他の方法でなら他の大陸と、自身の不可欠な繋がりを持っている。他のヨーロッパの国々とも、である。共に我々は、ヨーロッパが世界の出来事において現在ヨーロッパが担っていない役割を確実に担うようにするのだ。というのも、その十分な経済的強さを目立たせることに失敗したヨーロッパは、私はできたと信じている政治的影響をもたらせないだろうし、国連の内側や西部アライアンスの内側で、そして東部と西部の間の永続的な緊張緩和をもたらす手段として、そして同様に南北問題の解決や発展途上世界の要求にさらにずっと貢献するように、影響を及ぼすべきだからである。

 我々が全精力と掌中にある決定をもってして会員への加盟申請を実行しようと思ったのは、これら全ての理由によるものである。

 もちろん議会は、最も早い機会にこの決定について討論したいと願っているだろうし、白書として提出されるだろうこの現在の声明に賛成し、動議を可決させるよう議会が召集される予定の来週に、3日間の討論の準備ができるだろう。我々は来(きた)る数週間、十分にできる限りの情報をもって国会の要求を満たすように努めるべきである。農業に関係する最初の資料は今週後半には入手可能になって、我々は国会や一般世論が、含まれる多数の問題の完全で公平、そして情報に基づく判断を形成できるように、討論や、提出されるであろうそれ以上の白書の機会を持つべきである。

 というのは、これが来(きた)る数十年、イギリスの、ヨーロッパの、そして実際のところ世界の将来を、明確に決める歴史的な決定だということを、我々が皆はっきりと理解しているからである。

 ダウンロード 

ukhistory_5.pdf PDFを表示し印刷すればファイルをダウンロードしなくてもすぐに印刷できます 152KB
ukhistory_5.zip メモ帳(.txt)とワード(.doc)とPDF(.pdf)のファイルのセットです 156KB

 携帯サイト 

携帯サイトからも和訳を見ることが出来ます。
ブックマークしておくと、講義中などのピンチ時に活躍します。
以下のQRコードで訳の一覧ページに直接ジャンプできます。
QRコードを読み取れない機種をお持ちの方は、携帯サイトトップより順にお進み下さい。


Copyright (C) 2010 Manager ROLLY. All Rights Reserved.