[言語] 8.言葉の表現と力

 あなたは箱に釘を打ち込んでいる不器用な人を見たことがあるだろうか?その人はまず一方に打ち込み、それからもう一方、恐らく完璧すぎるほどに叩いているのだろう(が)、その結果、最終的には木に釘の半分しか打ち込めないのだ。一方熟練した大工は、数回の確かで巧みな強打でそれぞれの釘の頭を公平に打ち、深く打ち込む。だから言語についても、相当熟練した人は要点をしっかり、正確に理解させるような言葉を選ぶ。おおよそ正しい単語や、不正確な言い回し、多義的な表現、または曖昧な形容詞は、純粋な英語を目標とする書き手を満足させられない。書き手は常に目的に完全に合致するような言葉を使おうとしているのだ。
 フランス人はこれに相応しい言い回しを持っている。彼らはちょうどぴったりという「le mot juste」という言葉を使う。完全に正しい1つか2つの文を得ようとして数日過ごしたフローベルのように、物語は几帳面な作家によって作られる。
 言葉は多種多様だ。それらはわずかな意味の違いに繊細かつ敏感であり、我々が伝えたいことを正確に表現するものを見つけるのは簡単ではない。それは単に言葉を自由に操る優れた力や、かなり広範囲にわたる語彙を持っていることの問題だけではない;それはよく考えたり正確に観察したりするのに不可欠でもある。言葉を選ぶということは、理解することや、われわれの言葉を聴いたり読んだりする人のためであるのと同じくらい自分自身のために思考を明確にすることの課程なのだ。かつて誰かがこう述べた:「私が言うことを私自身が分かるまで、私が考えることをどうやって知り得ようか?」これはくだらない事のように聞こえるが、実はたくさんの真理を含んでいるのだ。
 正確な言葉を選び出すことは大変な作業であるが、それらを見つけることで得られる満足感によって報われるだろう。正しい言語を使うことは、扱っている題材を支配できることになる。恐らくあなたは「誰それはどういう人か?」と尋ねられたことがあるだろう。あなたはこう始める。「あぁ、彼はとってもいい奴だけど、いくぶん...」そしてあなたは、彼のどんなところが好きでなく、彼の限界(を構成するのが)何なのかを表現する言葉や言い回しを見つけようとすることを躊躇する。正しい言い回しを見つけたとき、あなたがその人について心に抱いていることはより明確で具体化するようになる。
 ある種の原始的種族の中においては、見知らぬ人に自分の名前を漏らすことは危険であると考えられていた。そうすることで彼らに自分以上の力を持たせてしまうのだ。近代的で文化の発達した社会においても、誰かが自分の名前を知っているのにこちらはその相手の名前を知らないとした時、自分がわずかに社会的に不利な立場にいると感じる。言葉を自由に操る力は、最終的には生活や経験を支配する力になるのである。

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