[言語] 9.言葉と身振り

 私たちは言葉を用いてのみではなく、言葉を用いずに人とコミュニケーションする場合もある。ほとんどの場合、私たちはそうしているということに気づいていない。私たちは眉や手で身振りしたり、誰かの目と(自分の)目を合わせたりそらしたり、椅子の座っている場所を移動したりする。私たちのとるそういった行動は、無原則でありがちなものである。しかし、研究者たちは近年こうした行動について、言語とほとんど同じくらい一致し、容易く理解できるようなシステムがあるということを発見した。

 どんな文化でも固有のボディランゲージというものを持っていて、子供たちはその微妙な差異を話されている言葉より取り入れる。フランス人はフランス式に話したり行動したりする。イギリス紳士の脚の組み方はアメリカ人の男性のそれと似ても似つかない。話をするとき、アメリカ人は(自分の)話を、手や頭を垂れることやまぶたを閉じることで終える傾向がある。彼らは質問に、手を上げたり、顎を傾けたり、目を広がらせることでけりをつける。未来時制の動詞を使い、彼らはしばしば前方へ向けた動きをとる。

 地方(特有)の語法というものもある。ある専門家はよく会話中の眉の使い方のみで、その人がウィスコンシン州の出身者であると見分ける。性別や民族的背景、社会的地位や個人のスタイルは、全て自らのボディランゲージに影響する。それにもかかわらず、あなたはアメリカの語法の範囲内で行動したり身振りしたりするのだ。

 本当に2言語を使用する人は、ボディランゲージにおいても2言語使用である。ニューヨークの有名な市長であるフィレロ=ラ=ガーディアは、英語、イタリア語、そしてイディッシュ語で政治活動をした。彼の映像が音なしで再生されるとき、彼の身振りから話している言葉を特定することはそう難しいことではない。英語で吹き替えた外国の映画がしばしば単調に見えるのは、身振りが言語に一致していないからである。

 普通、言葉を用いないコミュニケーションは言葉を修飾するために働く。言葉を用いない要素がよく効果的に表現することは、メッセージの感情的側面である。あなたが誰かに好かれているとか嫌われているとか感じるとき、それは「その人が言った事ではなく、言い方で(そう感じた)」という場合である。心理学者のアルバート=メラビアンは、メッセージの影響力の合計=言葉7%+声38%+表情55%、という定理を考案した。声の重要性は「あんたなんか大嫌い」という言葉でさえもセクシー(?)に聞こえるということを考えれば分かる。

 ジョルジュ=ド=モリエールはかつて、「言葉は面倒なものだ。あなたが肺を息でいっぱいにし、喉の小さな隙間を震わせ、言葉を作り出すと、それが空気を震わせ、空気が私の頭の2つの小さな鼓膜を震わせ…そして私の脳がざっと意味を理解する。なんて遠回りな方法で時間の無駄なんだ!」と書いた。  人間同士のコミュニケーションは、仮にそれが言葉だけで行われるとすれば、どれほどつまらないだけのものになるだろうか。しかし実際は、言葉はその最小の部分であることが多いのだ。

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