諏訪湖(長野県諏訪市)2日目

旅行2日目(3月20日火曜日)


  日の出

朝は6時の起床だった。
思ったほど前日の疲れは残っておらず、割と快調だった。
yuchとlegoの2人は朝風呂へ行ったが、rollyは乗り気がしなかったため行かなかった。

朝食はバイキングである。
10階の展望レストランでの朝食だ。
ちなみにこの朝食、宿泊料プラス500円で食べられるというのだから驚きだ。
前日の記録に書いた宿泊料合計の内訳は、宿泊料2900円+朝食500円+入湯税150円なのだ。
7時から食べられると聞いていたので6時55分に部屋を出て、非常階段で1階上へ上がった。
レストランの開店と同時に入店。
rollyの並々ならぬ主張で、諏訪湖が良く見える端の席につくことになった。

  rollyの朝食 yuchの朝食 諏訪湖

朝食はパンが非常に美味しかった
とても500円とは思えないクオリティである。
ここでもサービスは行き届いており満足できた。
1時間ほどかけてゆっくりと朝食をとった後部屋に戻ると、窓から富士山が見えた。

  富士山

富士山を見た後は出発にむけた準備をした。
いろいろと片付けをし、8時50分頃チェックアウトした。
自転車を止めていた鍵を開錠し、ヘルメットを装着して帰路に着いた。

出発時刻は8時57分だった。だいたい9時である。
帰りは諏訪湖の北側を通って帰ることにしていた。
これで1日目とあわせて諏訪湖を1周したことになるからだ。
自転車に乗ると一気に昨日の感覚が蘇ってきた。
走り始めて間もなく、「諏訪湖間欠泉センター」に着いた。
知らない人も多いと思うので簡単に説明するが、間欠泉とは周期的に地中から噴き出す温泉のことだ。

  近くで停車    間欠泉

来てみたものの、3人ともこの間欠泉の噴き出す周期を知らない。
どこにも説明書きはないので、ここで待ってみてもいつ見られるか分からないのだ。
居てもしょうがないので先に進むことにした。

下諏訪駅に近づいた頃だ。
ふと見上げると「諏訪大社下社秋宮」の看板が目に入った。
そういえば今日の分の祈願してないな、と思って寄っていこうと考えたが、神社や寺は山の上にあるイメージで、
この神社も多分山の上なんだろうなー、と思い直し、登るのが面倒だったので行くのはやめにした。

その後もしばらく湖畔を走っていく。
途中から湖畔の歩道の整備状況が悪くなったが我慢して走りぬけ、出発から40分後、10km走って釜口水門に到着した。
そろそろ見飽きてきた諏訪湖に別れを告げ、ここからは天竜川沿いを道なりに県道14号線まで戻ることにした。
中央自動車道の下を潜り、中央本線の下も潜り、県道へ戻った。
かなり狭い道だったが、もはや慣れてしまった。
昨日逸れて行った川岸小学校のところまで来ると、後は見知った道である。

そのうちに天竜川を渡る橋の手前までやってきた。
この橋は、上って下ることで川を越えることになるのだが、ここでlegoが一つの提案をした。
「上ったり下ったり面倒くさいから、対岸に行かずにこっち側を走ろう」
確かに思い返してみれば昨日、初めて何かと立体交差したときに、交差せずに真っ直ぐ走っていく道もあった。
すなわち、こちら側を走っていけばその道に辿り着き、1回も無駄な上り下りをせずに済むと考えたわけだ。
だがここでrollyは一抹の不安を感じて猛反発。
「こっち側の道がちゃんとあるかどうか、昨日確認してもいないのに走るのは無謀だ」
やり取りを黙って聞いていたyuchはどちらとも決め兼ねない様子だ。
しかし、その後もlegoが珍しく強く主張し続けたため、rollyが折れてlegoに賛同することとなった。
「じゃあそっち行っていいし道も任せるけど、何かあったら全部legoの責任な」
こうしてlego先導の下、予定外の道へ冒険の旅に出かけることになったのだが…そう、これが悲劇の始まりだったのだ…。

早速川の右岸の舗装道路を走り始めた。
短い上り坂があり、そのうちに下り坂になった。
その下り坂の先にあったのが橋だ。
が、legoはここを渡らずにそのまま右へ向かった
rollyとyuchは、道順を任せるといった以上付いて行く他ない。
間もなく舗装道路はダートへと変わった
堤防の上を走り始めたのだ。
この時点で右岸を南北に走る道は2本ほどしかなく、展望という点を考えるとここを走るのが妥当だったのかもしれない。
上手く石や凹みを避けることを考えながら長いこと走った
気のせいか山がだんだんと迫ってきているようだった。
不安が現実となるのはそう遅くないだろうと感じた。

…どこまで走り続けただろうか。
ずっと続くはずだった堤防道路。
山肌は明らかに川に近づいてきていた。
目の前には小さな尾根を回り込むような曲がり道
その先は尾根に隠れて見えない。
そのカーブの先端あたりから薄暗い雰囲気が漂い始めていた。
rolly 「おい、大丈夫かよ」
yuch 「やべぇ…」
lego 「……」
そして遂に辿り着いた。
この場所に…。

  ( ゚Д゚)

完全な行き止まり
前方には山、右にも山、左には川、選択肢は一つ。後方のみだ。
ここでrollyが自分たちの曖昧な記憶に間違いがあったことに気付いた。

天竜川は1度も線路と交差しない。
(地図上で)初期状態で川の右を北に向かって走っている県道はまず、線路を越えて川と線路双方の右側に出る。
この状態での並びは 天竜川-線路-県道 というようになっている。
その後、川岸駅の向こう側でもう一度線路を越える。
これで 天竜川-県道-線路 となった。
さらにその先で、県道は天竜川を越える。
これで 県道-天竜川-線路 となった。
このまま諏訪湖まで繋がっていくのだ。
問題はlegoが主張した橋が最後の橋だったということだ。
つまり、天竜川を越える前に逸れてしまったため、ずっと越えた状態で走っている県道には戻れないのである。
昨日何かと交差したときに見えた道。
「何か」は「天竜川」ではなくて「線路」だったのだ。

  分かりやすい解説

(追記)
文章だけでは分かりにくいと思われるので、追記として図を描いてみた。
上が諏訪湖方面で、各線が十字に交差する部分は全て橋、オレンジ色の矢印は行きと帰りの道順である。
配置を捉えた上で、赤字の番号を追って頂けると分かりやすいと思う。
凡例は右上に描き添えた。
ご理解頂けただろうか。

  戻るべき道    対岸

左側を見れば、すぐそこに県道14号線が見える
見えるのに天竜川の水深は深くて渡れない。
もどかしいことこの上ない。
yuchが川の岸辺ギリギリの斜面、legoが右前方の斜面をそれぞれ調査しに行ったが、どちらも通れそうにないようだ。
これはもう仕方がない。
今更legoを責めたところで元の道に戻れるわけでもないのだ。
早々に諦めて、元来た道を鬱情を抱えながら帰ることになった。

しばらく走ると、ようやく橋が見えてきた。
「天白橋」である。
この橋は先ほど下り坂を下った先にあった橋だ。
ここを渡ると川岸駅のすぐ隣あたりで踏切を越え、県道に戻ることが出来る。
無駄に費やした時間はおよそ30分、無駄に走った距離は往復4kmほどだった。

県道に戻ると、先ほどまでとのギャップで快適に走ることが出来た。
県道は休憩なくひたすら走り続けた。
北風と緩い下りのおかげで平均35km/h程度だった。
途中legoがトラックに轢かれそうになって睨まれる(?)という事件も起きたが、無事に平出の信号まで戻ってくることが出来た。

天竜川を越えて線路を越えて横川川も越えたあたりで、飲み物を買いたいというlegoの希望で再びデリシアへ向かうことになった。
いい加減尻の痛みが限界になりつつあったrollyは、デリシアの店員の方に100円ショップの場所を尋ねた。
諏訪を出る頃はまだ開店時刻ではなかったので、辰野でようやく寄れるようになった次第だ。
店員の方はSeria辰野店の場所を教えてくれた。
が、そこは考えていた道とは逆方向だった。
北へ戻るわけではないが、東へ行くことになるのだ。
だが地図上で見てみると、その100円ショップはさっきまで走ってきた県道14号線に近いようだ。
実はこの県道14号線、行きのルートの選択肢に含まれていた道なのだ。
つまり、ここを行けば国道153号線に戻ることが出来るということである。
ということで、3人の合意でこちらの道を行くことになった。
まずは教えてもらったとおりに宮木駅の北の踏切を渡った。
そのまま道なりに進むと間もなく100円ショップに到着した。
生ゴミのような吐き気のする臭気がたちこめた駐輪場に自転車を停め、店内へ入った。
探してみると100円なりの小さなクッションが見つかった。
yuchとlegoの勧めで紙ヒモも購入し、計210円で尻の痛み解消となる。
外に出て、石で切った紙ヒモでクッションをサドルに装着。
少し高くて座り難い気もしたが、痛みよりはマシだった。

再出発して「城前」の信号を右折。
中央自動車道の下を潜ってひたすら県道を突っ走った。
県道は思ったより快適で、小さなアップダウンがある程度だった。
間もなく箕輪町に入り、しばらく行ったところで「おごち給油所」という妙な名前の給油所の隣の交差点で止まった。
本来ならここで右折して153号線に戻るべきだったが、気付かずに直進してしまった。
それに気付いたのは箕輪東小学校らしき建物が見えた頃だ。
停まれるような場所がなかったので少し進んで、「沢川」を越えたあたりで停まった。

  国道方面(西)    括りつけたクッション

写真でyuchが見ている方角にある立体交差、下を通っているのが行くべき道だった。
停まって地図を見てみると、この先でも153号線のバイパス、最終的には153号線に戻れる道があることが分かった。
というわけで、山の中でトイレ休憩の後、再出発した。
県道14号線を「食事処とざ和」が見えたところで右折し、「松島」の交差点よりバイパスへ出た。
バイパスは真っ直ぐで快適だった。
途中ジャスコを過ぎたあたりで、白バイに捕まった信号無視らしい車を見かけた。
legoは写真を撮れたようだが、rollyは別の車に邪魔をされて撮れなかった。残念。

パチンコ屋が立ち並ぶバイパスをひたすら走っていくと、ようやく153号線に戻ることが出来た。
しかし嬉しくはない
153号線本線はバイパスほど歩道が整備されていないからだ。
このあたりの記憶がないので、坂を下って線路と交差して伊那市に入った頃まで割愛させていただく。
この頃になるとそろそろ腹が減ってきた
道沿いの飲食店を探したが、目ぼしいものはない。
某牛丼チェーン店も見つけたが、入る気がしなかった。
そのうちに「ガスト」が目に入った。
近くに「さんれーく」もあったが、迷った末にガストになった。
入ってみると中は同年代らしい若者で一杯だった。
どうやらかなり近くにある伊那北高校の生徒らしい。
3人とも同じメニューを注文して待ち時間を短縮させ、しばらくして出てきたステーキ+照り焼きチキン+大盛りライス+スープを食した。
微妙に居心地が悪かったので早めに退散し、再出発した。

ここ以降はずっと川岸を走っていくことになった。
北風のおかげでスピードは好調で、平均25km/hくらいだっただろう。
しばらく走って「沢渡(さわんど)駅」の東に出た頃、道は川から逸れた。
ここから先の記憶がほとんどない。
多少のアップダウンはあった気もするが、基本的には平坦だったのだろう。
随分走ってrollyの父親に遭遇した後も、更にひたすら走り続けた。

そのうちにようやく駒ヶ根市に戻ってこれた。
坂を上った先にある「北の原」の信号からは再びバイパス(伊南バイパス)を通っていくことになる。
とにかく真っ直ぐ、真っ直ぐに走った。
途中で休憩を取った。

  yuchと宝剣岳    バイパス(来た方角)

  聳える宝剣岳    こっちは南アルプス

再出発の後すぐ見えたローソンでトイレ休憩後、再び再出発。
工事中の橋の手前で曲がり、「小町屋南部」の交差点から153号線本線へ戻ることになる。
ここから先帰り着くまで、153号線はかなりのアップダウンを繰り返すことになる。
基本的に標高は下がっていくので下りの方が多いのは確かだが。
この先もひたすら走った記憶以外ない。
途中で過去の記憶を引っ張り出してみたり、緩い上り坂を一発省略しようとして失敗したりした。
飯島町の市街地を走り抜けた頃から長い下り坂が始まった。
途中でいつの間にか中川村に入っていた。
下り終わった後には上り坂が待っていて、少し上った。
その後また下りになり、ちょっと先で「牧ヶ原トンネル」が見えた。
歩道がなさそうだったので先頭のyuchがそのまま突っ込もうとしたが、続いていたrollyが別掘りの専用トンネルを発見。
そこを行くことにした。

  走るlego    来た道は…

トンネル内部は風がなくて快適だった。
ただ、こんな田舎で滅多に歩行者もいなさそうなのに、煌々と照明がついているのはどうかと思った。
税金の無駄遣いではないだろうか。
内部数箇所に赤外線センサーを設置し、人が通ったことを確認したら付くようにするべきだと思った。

その後、しばらく走ると上り坂になり、登りきったところでようやく松川町に入った。
「鶴部」という信号の近くにあった「信州アルプスホーム」の駐車場で一旦休憩し、今後通る道を勘案した。
一通り考えたが、3人ともこの先の道の覚えがなく、行くしかないようだった。
再出発して坂を下ると、片桐松川を越えた。
少し行くとようやく商店街の近くまで来た。
昨日通った「伊那大島駅」はすぐ近くだ。
あとはひたすら知っている道を行くのみだ。
トラックと排気ガスに追われながら国道をひた走った

「吉田」の信号の手前で左折し、市田駅の近くから下って明神橋を渡った。
ようやく豊丘村まで戻ってきた。
広域農道を走って走って…。

ちょうど17時のチャイムが鳴り響く頃、3人は無事「喬豊橋」を渡って喬木村へ帰還した
ゴールは橋の袂の「むっく」である。
これにて今回の目的、「諏訪湖を一周して帰ってくる」は達成された。

  目標達成!


往路:約10時間/75km
復路:約8時間/85km

帰宅後、rollyはあまり疲れを感じなかった。
つまり目標が甘すぎたということだ。
今回の旅行は、またいつか行くことになるであろう次回の旅行に生かされるはずだ。


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