Lesson3 「The Wonderful World of Smells / アロマの世界」

 遙か昔、何かがただおいしそうに見えるからといってそれを食べてはならないことを、人々は経験から学んだ。彼らは食べ物を判断するために感覚の全て、特に嗅覚を使ったはずだ。人々にとって、良い嗅覚を持つことは生き残るために重要であったに違いない。
 人間は、火の使い方を発見してから香りに興味を持つようになった。彼らは恐らく、ある特別な種類の植物を偶然燃やし、それが香りを放つことに気付いたのだろう。植物を燃やしてその良い匂いの煙を嗅ぐことは、古代より宗教的儀式の一部になっている。英語の単語「perfume(香水)」は実際、ラテン語で「煙を通って」を意味する「per fumum」から来ているのだ。植物を燃やすことで発生する匂いは、人間の体を清浄にし、心を澄んだものにすると考えられたのである。
 紀元前1500年頃、古代エジプト人は香水や香油を薬として肌につけることを学んだ。研究者たちは、彼らはミイラを作るのに香辛料も使っていたと言う。実際、1922年にはツタンカーメンの墓で香辛料の壺が1つ見つかっているのだ。一般的には香水は元々人を惹き付けるために使われたと考えられているが、恐らくそれは最初、薬として使われたのだろう。

   嗅覚は動物にとって非常に重要である。ハブはにおいでネズミを探す。逆もまた真である。ネズミはハブや他の危険な動物をにおいで嗅ぎつけるのである。サメは獲物の血のにおいを何キロメートルも離れたところから嗅ぐことで、それを見つけることが出来る。一方で、ある魚が捕まると、その群れにいる他の魚は死んだ魚のにおいで危険を察知することが出来る。
 においには他の効用もある。オスの蛾は、10kmまで離れたところにいるメスの蛾の群れを嗅ぎつけることが出来る。鮭はたとえ数千kmも離れた海を泳いだ後でも、似たにおいを嗅ぎ分けることで、生まれた川に戻ってくることが出来るのである。ネコやイヌは、自分のにおいで自身の住む空間に印をつける。これは「臭痕(マーキング)」と呼ばれる。
 人間はどうだろうか?風邪を引いて嗅覚を失えば、私たちはそれがどれほど重要か分かる。古代の日本人はそれほど頻繁には風呂に入らなかったので、高貴な人々は最愛の人に会う時には匂いつきの着物を着たのだ。その美しさで有名なクレオパトラは、美しいからではなく、自室の床にある数千のバラの花の香りをまとっていたから、ずっと愛されてきたのかも知れない。あなたはこれが「臭痕」の一種だと思うだろうか?

 香水はどこから来るのだろうか?ほとんどの天然香料は植物や果物、種などから来ている。動物から作られる香水はわずかなので非常に高価だ。麝香(じゃこう)とよばれる香水はオスのジャコウ鹿から来ている。香水を作るための天然成分の数はおよそ500だが、人工的な成分の数はおよそ5000である。
 香水の研究者たちは常に鼻を健康に保っておかなくてはならない。嗅覚をベストに保っておくためにジョギングに行く人もいる。彼らは無臭の石けんやヘアケア用品を使うのである。休日の前の1日だけは、彼らは辛い食べ物を食べようかとさえ考えることができる。喫煙はしない。人混みを避けるために仕事には早く出かける。このような生活を送ることのみによって、たくさんの違った種類の香水をテストするためのよい状態のままでいられるのである。
 今や香り付きアクセサリー、服、本、そして設定した時間に香水を放出する時計など、芳香性の商品が数多く売られている。会社やスポーツクラブの中には、BGMだけでなくBGP(Back ground Perfume)を使うところもあり、これは香水がどれほど私たちの気分に影響するかを示している。

   アロマテラピーは今非常に人気がある。あなたにエネルギーを与える香水もあれば、リラックスするのを助ける香水もある。例えば、レモンの香りを嗅ぐことは、より熱心に仕事をするのを促進することが出来る。長い散歩の後、ペパーミントのバスオイルを加えた熱い風呂に入ると、あなたは自分が生まれ変わったように感じるだろう。心と体の両方をさわやかに出来るのだ。アロマテラピーは体調が優れない人を治すのに必ずしも使われるわけではない。それは時々私たちの体調をキープするために使われるのである。
 この香りに関するレッスンをまとめる、あるおもしろい物語がある。ある貧しい男が、うなぎ屋の前にボール1杯のご飯を持ってきた。網焼きのうなぎから来る煙を嗅ぎながら、彼はボール1杯のご飯を食べたのだ。そのとき、店主が伝票を持って急いで飛び出してきた。その男は「でも私はあなたから何も買っていない」と言った。すると店主は「あぁ、いや君は買ったよ。ウチのうなぎを嗅ぐことで、そのうちの1匹を食べたかのように感じたじゃないか。だから私は君に匂いを売ったと見なすよ。君は私に800文の支払い義務がある」と言った。すると男は、ゆっくりと袋一杯のコインを取り出してそれを店主の耳元で鳴らし、「このコインの音を聞くことで支払われたものと見なしてはどうだい?」と言った。

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