Lesson7 「Why Don't We Ride Bikes? / 自転車の現在・過去・未来」

 自転車の歴史は1817年のドイツまで遡る。バロン・フォン・ドライスは2つの車輪を備えた木製の歩行装置を発明した。それは、地面に足を押しつけることで滑って歩くようにして前に進んだ。問題は、それが有用な道具になり得たかどうかということであった。およそ50年後の1865年、新たに改良された型が現れた。それは前輪に直結されたペダルを備えていたのである。
 1870年には、完全に金属製である初の乗り物が登場した。それは既存の型よりも乗り心地をより滑らかにする、大きな前輪を備えていた。前輪が大きければ大きいほど速く進めると人々が理解したため、前輪はどんどん大きくなっていった。これが自転車、あるいは「two wheels」と呼ばれることになる最初の乗り物である。
 1885年には、同じサイズの車輪2つと違うサイズの歯車2つを備えた自転車が作られた。この新しいタイプの自転車で、乗り手は大きな前輪のついた自転車と同じくらい速く進むことが出来た。この便利な乗り物が、初めての現代的な自転車であった。それは従来のものよりもより安全に乗ることが出来たのだ。

 自転車は既存の技術で発明されたが、代わりにそれは自動車や航空機のような新しい分野の発展に役立った。自転車製品に使われた技術、つまり、空気式タイヤ、転がり軸受、大量生産、は自動車生産に重要であった。ドイツのゴットリーブ・ダイムラーは、自転車を動かすのにガソリンを用いた最初の人物であった。したがって、自転車の修理店が最初のガソリンスタンドになったのも当然なのである。
 自転車の技術は、初期の航空機生産において重要な役割を果たした。有名なライト兄弟は、オハイオ州のデイトンで小さな自転車の修理店を営んでいた。彼らは1892年に自転車の修理を始め、1896年には自分たちオリジナルの自転車を作った。そして1903年、彼らは普通の道具と部品を使ってライト・フライヤーを組み立てた。プロペラを回転させるためにエンジンの動力をシフトさせる、スプロケットとチェーン伝導部が最たる例だ。他の例としては、元々自転車のフレームとして使われていた部品である、プロペラの支柱がある。

 自転車は19世紀後半になって世界を変えた。女性でも乗れる自転車の登場が彼女たちを解放した、と信じている人もいる。それ以前は、女性は公園を乗って回るくらいにしか適さない、重い大人用の三輪車に乗らざるを得なかった。当時の重いスカートを履いた女性にとって、大きな車輪のついた自転車に乗るのは難しかったのだ。今や彼女らはこの便利な輸送装置に乗ることが出来て、なお長いスカートで脚を覆ったままに出来るのだ。
 自転車のおかげで、より簡単に動き回れるように女性のファッションは簡素化した。1896年、スーザン・B・アンソニーは「自転車は女性の解放において、世界の何よりも多くの役割を果たした」と言った。
 自転車は人々が配偶者を選ぶ方法にも多大な影響を及ぼした。自転車の発明以前は、ほとんどの人が自分(の家)から10マイル(約16km)以内に住む人と結婚していた。自転車の発明により、人々は100マイル(約160km)以上も離れた配偶者に会うことが可能となったのだ。

 自転車は、発明以来200年未満の間で最もエネルギー効率の良い交通手段となった。費やされるエネルギーと及ぶ範囲の観点からすると、自転車で移動することは、馬や車より、そして徒歩ですらよりもエネルギー効率がいいのである。もちろん、自転車の燃料は乗り手の食べる食べ物だ。自転車の乗り手は、1本のバナナがおよそ含む100キロカロリーで5kmの距離を行くことが出来る。100キロカロリーに相当するガソリンでは、軽自動車は100mしか走れないのである。
 人々は皆、環境をきれいに保つために車の利用を減らすことを真剣に考えるべきである。例えば、車は大気汚染の主要因であるが、自転車はほとんど何も生み出さない。車は騒音公害も引き起こすが、自転車はこれまたほとんど何の騒音も出さない。自転車はいくつかの環境問題に対する答えとなる可能性があるのだ。
 しかし、話はそこで終わらない。車の利用から自転車の利用に移行することで、あなたの健康も間違いなく向上するだろう。

 自転車は、車を運転する時には得られないような解放感を与えてくれる。自転車に乗ることで気分を良くすることが出来るのだ。それは、忙しい一日の終わりにストレスを取り除くのを助けてくれる。自転車に乗って通勤すれば、健康を維持し、気分を爽やかにするのに役立つことになるだろう。
 自転車に乗ることはそれほど心臓に負担をかけないので、誰にとっても素晴らしい運動である。それは、ほとんどの有酸素運動と同じ心拍数で心臓を拍動させることになる。
 自転車に乗ることは、あなたを強くし、調和レベルを向上させることになるだろう。これは、危険をはらんだ転倒や落下の後、ケガをする可能性が低くなるであろうことを意味している。また、運動した後に痛みを感じる可能性も低くなるだろう。
 さてこれで、自転車には興味深い過去とわくわくさせるような未来があることが分かった。健康を維持し、良い気分を保ち、エネルギーを節約し、私たちの環境を保護するのを助けるために、自転車に乗ってみてはどうだろうか?

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