[6.社会・経済] No.17

 日本人のやり方は、西洋で普通であるそれとは非常に異なることがある。しかし、それが異なるというまさにその事実こそが、時に日本人を優位に立たせることがある。そのような特徴が、資源に乏しい島々の小さな連なりを世界で最も強大な経済大国へと変えることに日本人が成功した、という点において貢献しているのだと私は信じている。

 伝統的な日本人のやり方の最も顕著な特徴の一つが、日本人は、西洋が好むように狭く細い線状に考えるのではなく、循環論や全体論の言葉であると説明されうるもので考えることに慣れているということだ。西洋の見地からすると、日本人の考えや振る舞いは、しばしば非合理的であるように見受けられる。

 しかし実際には、日本人のやり方は、論理的な要素のみならず矛盾する要素も考慮するため大抵より包括的であり、日本人の考え方や振舞い方は西洋のやり方よりもより合理的で、より論理的であると分かることも同じくらい多い。

 日本人の伝統的かつ文化的な物事の考え方が、そのかなりの部分において、人生の不明確さや見かけの矛盾に基づいているという事実は、現代世界の高まる複雑性に対応する上で、日本人の最大の強みの一つになった。

 不明確な心の日本人が持つ最も著名かつ肝要な利点は、コンピューター科学への態度や取り組みであると考えられる。アリストテレス状態にあるアメリカやヨーロッパのコンピューター科学者が好む二値論理のみに基づいて取り組むよりも、日本人はいわゆる「ファジー理論」の取り組みをすぐに用いた。プログラミングコンピューターにおいてファジー理論の概念を思いついて生み出したのは、日本人が最初ではなかった。それはそもそもアメリカの科学者の成果であったが、アメリカやヨーロッパのコンピューター科学者の主流は「ファジー思考」に冷静に反対しており、その価値や将来性を無視しがちであった。

 西洋の科学界のこの文化的な失敗によって、日本の科学者は全体論のコンピューター論理の実用化においてリーダーになることができたのである。1990年までに、(政府の援助を受けて)大多数の日本の大企業は、ロボットや、地下鉄システムからエアコンまでの多種多様な家電製品や電気設備について、ちょうど巻き返しを図り始めていた西洋側よりずっと正確で柔軟に制御出来るよう、ファジー理論を使っていたのだ。西洋人に最も批判され、固定観念化された日本人の特徴の一つが、世界の他の国々と競争する上での最も大きな利点の一つになるという結果になったことは皮肉であった。

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